シリアスゲームセミナーの振り返り

昨日、ミッドタウンのデザインハブで、

九州大学のシリアスゲームセミナー(以下SG)に参加してきました。

 

Twitterではすでにトゥギャられて乗り遅れた感があるので、

ブログとしてまとめることにいたします。(メモの延長ですが…)

※は福山の雑感。

 

九州大学 シリアスゲームプロジェクト

http://macma-lab.heteml.jp/sgp_official_website/main/

 

福岡市経済振興局 課長土井さんの挨拶

 

○H21~23年にかけて、SGの産業育成に行政として取り組むことになった。

→福岡には元気のあるゲーム会社がたくさんあり、土壌がある

→九州大学に委託し、産官学連携のプロジェクトに。

→福岡ゲーム産業振興機構

 

○日本ではエンタメゲームが流行りすぎたゆえに、シリアスゲームには厳しさがある。

 

※シリアスゲームに行政として目を付けたというのは凄い!

福岡にはいわゆるパブリッシャではなく、開発の企業が多そう。

 

藤本先生講演

 

○シリアスゲーム研究は2番手以降が出てきていない!

○エンタメゲームは娯楽の時間を対象としているが、SGはその他の生活時間も対象にしている

→温泉のように、ゲームの種類と効能が整理されると良い

○シリアスゲームを取り巻く状況

・大学でのシリアスゲーム教育がアメリカを中心に普及

・大規模研究プロジェクトや開発環境の進展

・シリアスゲーム関連イベント、開発コンテストの増加

→特に「Health Games Research」

 

○米国ではSTEM(科学・技術・工学・数学)教育にゲームを活用

→オバマ大統領が教育へのテクノロジ導入の一環として

 

※イギリスもブラウン首相がゲームの教育利用について関心があった。

→Future labの報告書などより

 

○ゲーミフィケーションへの注目

(日本では立命館大学サイトウ先生のゲームニクスが有名)

 

・ゲーミフィケーションとは?

→ゲームデザインのマーケティングやサービス開発への応用

http://www.4gamer.net/games/036/G003691/20101122020/

http://gamification.org/wiki/Encyclopedia

 

ex.LeBlancのMDAフレームワーク

ゲームの「メカニクスとダイナミクスとエステティクス」の側面の関係

 

※こちらに日本語のやや詳しい解説がありました。

http://homepage1.nifty.com/sawaduki/game/sawa/cedec_r.html

原文はこちら

http://algorithmancy.8kindsoffun.com/

 

○シリアスゲームといっても開発費も期間もバラバラ!

America's Armyは2年で750万ドル!

一方ボランティアによるものもある。

 

○あなたにとってのビジネスとは?

→シリアスゲームへの関わり方は様々。

 

○シリアスゲームもモデルを作ることが重要

→成功事例としての「Free Rice」の価値形成モデル

 

○他分野の実践も参考に

→「もしドラ」もエンタメとシリアスの融合(関連図書への繋がりも)

→ラップで経済学「ケインズVSハイエク」

http://www.youtube.com/watch?v=3EkcQJkudoY

 

※昔B-lapハイスクールにもCo.慶応とかいましたよね。

 

○まとめ

・欧米を中心としたシリアスゲームの定着

・ゲーミフィケーションなどのゲームの枠にとらわれない可能性

・シリアスゲームで達成したいことは何か?

 

シリアスゲームプロジェクト09-10の報告 九州大学講師 松隈先生の発表

 

○09年度はSGの有効性の土壌を作ることが目的

○環境問題SGPJ

・学生3チーム、企業1チームでのゲーム製作

→人材育成も目的

↑「官」とのMTGや「産」による開発のサポートもあった

・ゲームはVector等で公開し、4本で1万7000DLがあった。

・成果報告はCEDECやG-STARなどで。

 

評価は小学校で実践。統制実験的なデザインで行った。

→DiGRAで発表。

 

※小学校で統制実験が出来たというのはすごい!

詳細が聞きたいが、ちょっと無理そう。だれか教えてください(笑)

 

10年度はリハビリと観光

 

□リハビリ用ゲーム

○九大にはNamcoと共同研究しているという土壌があった。

http://www.namco.co.jp/press/release/01/20060920.pdf

 

○必要だがつまらない「起立運動」に注目

→ゲーム化することで楽しく・たくさん行える?

→途中経過だが効果はありそう

 

□観光ゲーム エレメンツ 石川社長の発表

 

○シリアスゲームの壁

・政府・自治体・大手にはあまり期待できない

・社会が求めるものとは何か?

・効果測定ができるものはなにか?

→ビジネスと結びつきやすいものは何か

 

観光→人とお金の動きが見えやすい!

   社会的意義もあり!

 

○ARGを用いた観光ガイドの開発

→場所と連動したStory

→様々なビジネス可能性がありそう

 

 

ラウンドテーブル(一部だけ…)

 

○九州事例の特徴(九大の先生方)

→校長も病院も異例なほど協力的だった!

 

○アメリカではどうしてSGは普及した?(藤本先生)

1,テクノロジを教育に導入することへの慣れ

2,シリアスゲームのエヴァンジェリストの存在

3,他のメディア学の権威からのサポート

 

○ビジネスモデル

日本にあったモデルを作る必要がある。

欧米型スタイルの輸入は現状では厳しい(ex.SGラボの失敗)

 

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福山の感想

 

正直にいって九州事例はあまりにも理想的すぎると感じた。

産・官両面のサポートからSG研究が始められることは他地域ではまずなさそう…。

ただ、やはりSG研究で研究者がコンテンツを作るのは難しいので、

研究内容によっては産業界と結びつくか大学でプログラマがいないと辛いだろう。

 

前から思っていたことだが、ゲームと相性の良い分野として、

「医療・法律・環境・観光・(軍事)」というのは確実にありそう。

個人的にはいつか一度は医療系の人と一緒にゲーム研究がしてみたい。

 

また、産業界の方とお話しして一番望まれているのは「効果測定」だと感じた。

ゲーム研究で一番(教育)効果の測定が遅れているというのは、

(一応)教育・心理分野からアプローチを目指している自分として正直チャンス。

きっちりそちらに軸足を残した上で、ゲーム研究をしていこう。