教育工学会論文誌にショートレターが掲載されました

日本教育工学会論文誌36(suppl) pp.125-128に、

「社会的ジレンマ体験を目的としたカードゲーム教材が協力行動意図に与える影響の検討」

というタイトルでショートレターが掲載されました。

 

2010年の夏に行った、「環境問題の社会的ジレンマを体験するゲーム」が、

ゲーム直後と半年後の2011年4月にどのような効果を持っていたのかを検証した論文です。

 

・参加者は半年後にもゲーム内で葛藤を覚えた箇所を良く記憶していること

・"環境問題に対して個人が協力することが重要である"という意識をゲーム後に獲得した

 参加者は半年後にも協力行動意図が低下しないこと

 

などが研究の結果、明らかになりました。

 

今、久しぶりに自分でもこの論文を読み返してゲーム教材全般に関して思ったことは、

 

1.ゲーム中の"葛藤"をきちんとラーニングポイントとして設定しておく必要がある

2.ゲーム後に"影響を残すために重要"な意識や経験というのがある

 

ということでしょうか。

 

1つめはあたりまえのことですが、

"ゲーム中での葛藤"が最も記憶に残ることであるのであれば、

葛藤が起こる場面にラーニングポイントを設定しておくことが、

最も効果的であるということです。

 

2つめは、ゲーム直後に効果が出ていても、

半年後にその影響が残っているためには、今回の研究であれば、

"自分ごととして問題を捉えておく"などの意識を獲得しておくことが重要であるということです。

おそらく、意識の変容を目指す他のゲームでも、

その瞬間に「へぇー」と思うだけではなく、「現実とブリッジしておくこと」が、

半年後に効果を保持するために必要なのではないでしょうか。

 

それでは。